こんにちは。くれはです。
最近、本業の方で採用関連のお仕事に関わる可能性が出たので、
人事採用業界を超特急でいろいろ勉強しました。
「キャリア・ウェルネス」という本から学びが多かったのでご紹介します。
100年生きてしまうかもしれない時代の「健やかなキャリア」とは?
超ざっくりの要約をしてみます。
大事なのはここ。
これまでは「キャリアをつくる」とは、必然的に他者より抜きん出て出世する
というニュアンスが主流だった。
反動として、若い世代が会社組織の中で紋切り型の成功を目指すことに違和や疲れを感じ、
自分を傷める仕事生活というものから離れようとして
「自己防衛のキャリア観」が出てきた。
それは昭和のモーレツ滅私奉公型からの健全な揺り戻しで、悪いことじゃない。
ただし、
プライベートの「快」重視 ←→ 仕事は「不快」なので遠ざける
っていうのももったいないよね。
人生100年時代、「労働=苦」の考え方だけで働き続けるのってしんどいじゃん。
自分自身を「健やか」に保って働くウェル・ビーイングなキャリアを目指して豊かに生きていこうよ。
という提案をしている本。
以下、個人的に印象的だった部分をもう少し詳しく紹介します。
人生をどんな楽しさで満たす?
「楽しい」には大きくふたつの性質があって、
「心が楽しんでいる」には性質の幅があるという整理が印象的でした。
情的な「楽しい」
(刺激的な喜び、承認欲求、競争の勝利)
楽(ラク)で楽しい=気分のよさ
例)海外旅行で豪華ディナー
意的な「楽しい」
(貢献的・使命的な喜び、自分に克つ)
楽(ラク)ではないけど深いところで楽しい=魂の充実
例)途上国で医療従事
どちらいいとか、正しいとかではない。
ただ「人生100年時代に情的な楽しさだけで埋め尽くすのは無理」
という記述にドキッとしました。
私たちはどうしても
「仕事で成功する」とか「お金持ちになる」とか「いい人と結婚する」「欲しいものを買う」とか
「情的な快楽=幸せ」という図式で捉えがち。
でもそれは人生の中のほんのほんの一瞬の出来事でしかない。
そんな快楽を求め続けてたらいくらお金があってもいくら成功してもずっと満足することはなく
常に渇望している飢餓状態になってしまう。
それってすごく苦しい生き方。
でもラクではないけれど、自分の価値観に沿って意味のある貢献をしていく活動は
少しずつ積み上げて人生を豊かにしてくれる。
現代における8つの仕事観
第二章 労働観の変遷の中の「現代におけるさまざまな仕事観」(p.85~103)の部分も
興味深く読みました。
食べるための労働から解放されたとしても人間は働く。
それは「やりたくない労働」ではなく「やりたい仕事」
本書では8つの仕事観が紹介されてました。
- 稼業としての仕事
- ゲームとしての仕事
- アートとしての仕事
- ケアリングとしての仕事
- 学びとしての仕事
- 道としての仕事
- 社会参加としての仕事
- 自然共生としての仕事
「6. 道としての仕事」では朝青龍を例に、
能力・成績からの評価と横綱としての品格問題で世間を二分したのはなぜか?
が解説されていて、なるほど腹落ちしました。
また、「8. 自然共生としての仕事」では、もしかして自分が自然と距離を縮めたいと考えている人生観の一部を言語化された気がしました。
「大自然が内包する生命の環の一部になる敬虔な心持ち、そして地球環境にローインパクトな生活、
そんな信条・思想を持つ人たちがたどり着く境地です。」
筆者が時々東京から山梨県の葡萄農家や稲作の手伝いをしている時の描写も
すごく共感しました。
土に触れ、陽にあたり、空気を嗅ぎ、汗をかく。
葉に触れ、種に触れ、虫に触れる。
五観・六感が蘇り、原始のヒトが持っていた「センスオブワンダー=自然への不思議・畏敬の感覚」が呼び覚まされます。
先日農家さんのお手伝いをしに行ったのですが、土に触れるのって心が安らいで純粋に楽しい。
ワクワク興奮する楽しさではなく、心が穏やかに落ち着いて無心で枝葉を眺めたり、種や土を観察している時間があっという間にすぎる感覚。
この本がおすすめの人
帯には「経営者、人事部門担当者、管理職、キャリアコンサルタント、
そして健やかに働き続けたい全てのビジネスパーソンに向けた本質的論考&スライド講義」とあります。
自分にとっての仕事とは何か?キャリアとは?
今やっているのはやりたい仕事?
ずっとこの会社にいていいんだっけ?
ライスワークとライフワークは?
そんなモヤモヤを抱えている人には悩みが言語化され、得る部分が必ずある本です。
図解をたくさん使って概念を説明してくれているので、
研修のコンテンツとしてもすぐ使えそう。
とりあえず「健やかさのキャリア観」というキーワードにちょっとでも気になった人はご一読を。