『「ついやってしまう」体験のつくりかた』が面白すぎた【オススメ本レビュー】

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こんにちは。くれはです。

昨日、めちゃくちゃ面白い本を発見しました。



結論、読んでめちゃくちゃよかったです!

kurehakureha

「ビジネス書で興奮する」のはかなりレアな体験!笑

著者紹介

ゲームのプロが書いた体験設計の本というのが新鮮です。
そして何より「この本を読む体験そのもの」自体が巧妙に設計されているので、
読む体験がすでに面白いです。(さすがすぎる…!) 

著者
玉樹真一郎
わかる事務所 代表
元・任天堂Wiiディレクター/プランナー
八戸学院大学地域経営学部特任教授
NPO法人プラットフォームあおもり理事

プログラマーとして任天堂に就職後、プランナーに転身。全世界で1億台を売り上げた「Wii」の企画担当として、最も初期のコンセプトワークから、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークサービスの企画・開発すべてに横断的に関わり「Wiiのエバンジェリスト(伝道師)」「Wiiのプレゼンを最も数多くした男」と呼ばれる。

2010年任天堂を退社。同年、青森県八戸市にUターンして独立・起業、「わかる事務所」を設立。全国の企業や自治体などで、コンセプト立案、効果的なプレゼン手法、デザイン等をテーマとしたセミナー、講演、ワークショップ、プレゼン等を年60回以上おこなうほか、コンサルティング、ウェブサービスやアプリケーションの開発等を行いながら、人材育成・地域活性化にも取り組む。

2011年5月より特定非営利活動法人プラットフォームあおもりフェロー。2014年4月より八戸学院大学・地域経営学部特任教授。2017年4月より三沢市まちづくりアドバイザー。

著者のtwitterはこちら↓
(この本の他の方の感想ツイートが読めます)

https://twitter.com/tamaki_wakaru?s=20

目次

目次
はじめに

第1章 人はなぜ「ついやってしまう」のか
直感のデザイン
 どんなゲームが売れるのか
 メッセンジャーとしてのマリオ
 クリボーに出会ったプレイヤーが感じる奇妙なこと
 直感のデザインの構造
 おもしろそうと思わせるよりも大切なこと
 誰もが思わず解いてしまう問題の条件
 シンプルで簡単なものをつくる難しさ
 もうひとつの直感の起点
 ユーザに寄り添うとはどういうことか

第2章 人はなぜ「つい夢中になってしまう」のか
驚きのデザイン
 ゲームの教科書としてのドラゴンクエスト
 なぜ「ぱふぱふ」なのか
 プレイヤーの予想を外すという体験デザイン
 きっかけは、ふたつの思い込み
 驚きのデザインの構造
 10種のタブーのモチーフ
 コンテンツの基本は直感と驚きの組み合わせ

第3章 人はなぜ「つい誰かに言いたくなってしまう」のか
物語のデザイン
 物語はどんな形をしているか
 断片的に語る、波をつけて語る、未来に語る
 体験の意義
 成長のモチーフ1 「ない」を集める
 時間は目に見えないし、問題は終わらない
 成長のモチーフ2 選ぶことで得られるもの
 成長をもたらすのにうってつけの体験
 成長のモチーフ3 旅の同行者
 客観を主観へと入れ替える
 成長の果てでなければたどりつけない体験
 なぜ物語はスタートに戻るのか
 物語のデザインの構造/体験と記憶

終章 私たちを突き動かす「体験→感情→記憶」
体験デザインの正体
 体験と記憶、そして感情
 体験デザインの研究領域

巻末1 「体験のつくりかた」の使いかた(実践編)
1ページでまとめ
応用1 考える/企画
応用2 話し合う/ファシリテーション
応用3 伝える/プレゼンテーション
応用4 設計する/プロダクトデザイン
応用5 育てる/マネジメント

巻末2 体験デザインをより深く学ぶための参考資料

ちょっとだけ要約

個人的に一番面白かったのは、第二章 驚きのデザインです。

第二章 驚きのデザイン
前提)直感のデザインは疲れと飽きを生む
直感のデザインは「仮説→試行→歓喜」というシンプルな体験であるが、
繰り返すことでプレーヤーはストレスを感じる。
「たぶんこうかな?(不安)」→「合っていた!(歓喜)」という感情の往復で気疲れしてしまう。
加えて、人間の脳みそは同じ刺激が繰り返されると反応が徐々に鈍っていく。
それを払拭するのが驚きのデザイン。
驚きのデザインとは
脳の予想はあえて外す体験を織り交ぜる設計のこと
続いてきた/続いていくはずの平穏な日常の予想や前提を覆すことで疲れ・飽きを癒す効果がある(=夢中にさせる効果)
例えばドラクエでは、つらい冒険、学習の連続の果てに、非日常で予想外の「ぱふぱふ(性的なモチーフ)」というタブーを投入することでプレイヤーの疲れを癒す効果を果たしているそうです。
ビジネスでの適用
前提への思い込みを覆すのは大変なので、
日常への思い込みを破る「タブーのモチーフ」だけで驚かせるというアプローチ方法が有効。
「その体験は、人間が本能的に欲するものを描いているか?」
「その体験は、目をそむけたくなるものを描いているか?」

直感のデザインの中で頃合いを見て驚きのデザインを織り交ぜることで
飽きることなく最後まで体験をしてもらえる(離脱しない)
kurehakureha

たしかに
つい見てしまうCMや、目に飛び込んでくる看板、商品デザインには
非日常の刺激が詰まってるかも

感想

「面白いゲームはなぜ面白いのか?」の秘密をこんなにめちゃくちゃおもしろく教えてくれる本だとは思ってませんでした。
ゲームを題材に説明していますが、ゲーム微塵も知らない興味ない勢(私ですw)でも全く問題ありません。

ちょっとだけ読むつもりが止まらず、1.5時間で一気読みしちゃいました!
(twitter見ると同じ感想の方が多いですね。やはし)

結論、サブタイトルにある「人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ」
これがこの本が伝えているまさに「人がついやってしまう体験のコツ3つ」です。

が、この著者(と編集者さん)がすごいのは、

この本を読む体験自体で「つい」がデザインされている

という点なんです。

直感の体験としては、
平易な言葉で図式や絵をたくさん使いながら具体例を使って説明してくれるので、
「なるほどふむふむ」直感的に理解しながら読み進められます。

驚きの体験としては、
「えーそうだったんだ!実はあのゲームの裏にはそんな仕掛けが!」
といった、知らなかった新しい発見、ワクワクが第二章に散りばめられているので、
読者に読み疲れをさせません。

最後に物語の体験にいたっては、
「ゲームなんて時間の無駄」と思っていた私が「ゲームって意外と崇高なんだな」まで認識を改めるほどの威力でした笑


ゲームでは最後に主人公がスタート時点に戻る描かれ方が多く、それは神話と同じなんですって。
「全ての神話には共通点がある。いろんな困難を乗り越えて、最後には家(スタート時点)に戻るのだ。これによって以前の自分とくらべて成長を実感することができる」

この本を読みおえて閉じた時、一見すると何も変わっていないようで、
昨日より学び成長した読者がそこにはいる。

「自分も一歩成長した!」と自分事化して共感することができました。

kurehakureha

あーもうなんて面白い本なんだ!
カフェで黙って一気読みした直後はちょっとした興奮状態でした笑
この体験をぜひ味わってほしい!(そして感想を語り合いたい)

そんな勢いのままこの記事を書いてますが、
この「つい誰かに言いたくなってしまう」こと自体が、この本の体験が設計された結果な訳で。

もう「本当にすごい」しか出てきません…。

UXの観点では、「自分は「直感の体験」にはすごくフォーカスしていたけれど、
逆にそれしかやってなかった」ということを痛感しました。

「業務システムでもゲーミフィケーションが大事」なんて頭ではわかるけど
実際どうやれば実現できるのか?何から手をつければいいのか?
はさっぱりわかっていませんでしたが、この本で手触り感を持って理解ができたのは大きな収穫でした。

まずは自分がこの「人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ」を使いこなせるようにならねばと思います。

新規事業の立ち上げのお手伝い、ウェブサイト改善の設計、セミナーでのプレゼン、など
全ての時に意識するようにしたいと思います!

読むのがおすすめな人

本の帯には
「商品・サービス・イベント等の企画・マーケティング・開発・デザイン・プロデュース担当者必見!」
とありますが、
人と接する人なら必読といっても過言でないと思います。

だって、「人を動かす」というのはあらゆる場面で必要になるんですよね。

「子供にお片付けをさせる」とか
「取引先と商談を成立させる」とかもそうですが、
「国民に選挙投票させる」だって結局同じ…なんて思うと、
もはや日本人全員読んだ方がいいレベルかも笑

強いていうなら、
ウェブサイト運営に関わる担当者、デザイナー、エンジニアの人にオススメしたいです。

kurehakureha

とっても面白い本なので、一度騙されたと思って読んでみてください。
(感想募集したい)

関連書籍のご紹介

同じ著者の別の本としては「コンセプトのつくり方」があります。
こちらもぜひチェックしてみたくなりました!

まとめ

  • 『「ついやってしまう」体験の作り方』はゲームのプロが買いた体験設計の本
  • 人は「直感・驚き・物語」の仕組みによって「つい」動いてしまう
  • 「驚きのデザイン」:思い込みを覆すことで人を夢中にさせることができる
  • 日常の思い込みを覆すのはタブー(禁忌)
  • この本の読書体験自体に「直感・驚き・物語」がデザインされているのがすごい
  • 1.5時間くらいで一気読みできる文量とおもしろさ

ちなみに、この本は電子本(Kindle)じゃなく、音声(Audible)でもなく、

絶対に紙の本で読むことをオススメします。


筆者は
「この本は1ページ目からあなたが今読んでいる見開き(316~317ページ)まで、意図のないページはありません」と最後の最後で明かしています。

見開きの見せ方、次のページをめくる前の演出など、
紙の本ならではの表現で練られたデザインを
「つい読み進めてしまう」体験をしながら
ぜひ体感してみてください。

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